蛋白漏出性腸症のわんちゃんのために
小腸・十二指腸などに起こる炎症性腸疾患(IBD)で、粘膜層に形質細胞(プラズマ細胞)の浸潤による炎症が起こっている状態をいいます。
形質細胞(プラズマ細胞)はもともと誰にでもある細胞ですが、炎症部分にこの細胞が多数集まっている状態を「リンパ球形質細胞性(リンパ球プラズマ細胞性)腸炎」といいます。
この細胞が集まることによって炎症が起きるのか、炎症が起きているからこの細胞が集まってくるのか、は解っていません。 原因は不明ですが、免疫機能の異常やアレルギー、遺伝などが関与しているとみられています。
この炎症があることにより、腸全体の機能低下、タンパク質など栄養の吸収阻害、炎症部位からのタンパク質・アルブミンの漏出が起こります。
また、そのためリンパ圧が上昇しリンパ管の負担が増大し「リンパ管拡張症 IL」を併発する場合もあります。
小腸・大腸に炎症がある場合は慢性の下痢症状、十二指腸 ・胃に炎症がある場合は嘔吐の症状がみられます。 まれにまったく症状がでない場合もあります。
免疫機能異常やアレルギーの関与が濃厚であり、また食材そのものが炎症の悪化原因となる可能性があるため、それらの「食材」を除去した食事が必要となります。
悪化原因となる食材を特定する確実な方法はありません。 まず参考となるのがアレルギー検査ですが、あくまで参考ということで、食材をひとつひとつ試して下痢などの症状を起こさないもの、TP値・ALB値を悪化させないものを探します。
また、今まで食べたことのない食材「新規タンパク源」は「アレルギー源」となる可能性が低いので、思い切ってためしてみるのもひとつの方法かと思います。
アレルギーはタンパク質以外のものでも反応します。
その辺りも考慮にいれながら、療法食フードや食材の選定を慎重に行ます。
(高タンパク、吸収のよいもの、加水分解蛋白など)
また「リンパ管拡張症 IL」を併発している場合には、脂質のカットも必要になります。